“深宇宙に行きたい”SSDは広崎様ご自身の夢をかなえるための場でもあり、この夢に共感する人々が集まっている。広崎様から今度は日本初の有人宇宙開発に至るまでの展望を伺った。
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イ |
日本から"民間ベースで有人宇宙開発"を行うにあたってどういった展望を抱いていますか?課題が多くあると思いますが。
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広 |
現状だと僕自身も明確に見えているわけじゃない。その上で今の考えを言います。
日本では先駆者の米国と違う課題が大きく分けて二つあると思います。
一つは、投資家が少ないこと。日本の投資家はもともと、リスクの高い事業に投資をしてくれない状況があります。さらに過去、某IT社長が宇宙旅行と絡んだせいで世間的にはダーティーなイメージがついてしまったせいでさらに付きにくくなっています。それに今は金融不況ですからね。
第二は、まわりの理解なんじゃないでしょうか?
今は2004年のスペースシップワンの成功をピークに、日本に限らず世界的に関心が下がってきている状態です。原因は明らかで、まだ誰も成功してないからですよね。
まず、先駆者として現在頑張っているVirgin Groupなどが成功して世間的な注目を集めてくれることに期待しています。結局のところ、技術的問題、制度的問題よりも、原因はここなのかな。
その為に何ができるか?!ってことですが、今は結局一人一人が仲間を増やしていくことに尽きるでしょう。有人ロケット研究会の立ち上げや、各種シンポジウム、学会、イベントに積極的に顔を出して仲間を増やしています。こういった地道な努力が将来独自の動きを起こすためのベースになると思っていますし、そう思えないならばやるべきじゃあないですよね。
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イ |
民間による宇宙開発、それ以前に宇宙業界で起業し、食べていくということは、他の業界以上に難しいと思います。それでもなぜ広崎様はチャレンジをされるのですか?
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広 |
さっきも言ったけど、僕自身も明確なビジョンが見えているわけじゃない。でも何とかしたい、僕自身が将来宇宙にも行きたいし惑星間航行をやってみたいっていう夢に突き動かされて動いています。
前にいた職場は確かに楽しかったし宇宙にかかわっている実感もあった。でも今やっていることを続けても僕が生きているうちに僕が望む未来がやってくるとは思えなかった。
考えるのが先か、動くのが先かって言ったら動いたのが先でした。でも動いたことによってそれまでの職場では得られなかった情報も支援もたくさん手に入ってきました。これらをもとに今後明確なアクションにつなげていければなと思っています。
いま日本に、民間による日本製有人宇宙旅客機開発の展望について、見えている人がいるかって言ったらたぶんいないと思う、でもだからって何もしなかったら未来は実現しないんです。たとえば航空業界、今ようやく国産旅客機だってまた始まったけど、20年前はもうだめだって思っていたし見えている人も少なかったはず。それでもチャレンジし続けたからこそ今があるんです。私の活動もそういう意味があると思っています。
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イ |
最後に学生に対してメッセージをお願いいたします。
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広 |
どの業界も辛いことあると思いますが、それでも面白いから、楽しいから、やっているんです。宇宙業界だってそうです。それを皆さんには見つけてほしいですね。
その上で自分なりの軸を見つけてください。その為にはイメージだけでなく自分の足で情報をとってみてください。それで選んでもらったのがうちであれば最高ですね。
あと、将来に対して大きなビジョンを持っている人にはあきらめるな!!と言いたい。諦めたら、それで終わりですから。
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宇宙システム開発株式会社の職場風景
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