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中央エンジニアリング株式会社

8月13日、名古屋の大江設計室にお邪魔して株式会社中央エンジニアリングさんのインタビューをさせていただきました!
 
中央エンジニアリング株式会社

8月13日、名古屋の大江設計室にお邪魔して株式会社中央エンジニアリングさんのインタビューをさせていただきました!
仲島さんは入社11年目ですが、これまで長年JEM(きぼう)の打ち上げ実施のためにケネディ宇宙センターに行っていて、つい先日日本に帰ってきたばかりの方です。今回は派遣業務についての話、仲島さんのケネディ宇宙センターでのお話など、お二人に色々と聞いてきました。
 

左:仲島さん 右:大内さん

    中央エンジニアリングって何をやってるんでしょう??

インタビュアー(以後イ):  
  それではまずは会社概要からお聞かせ下さい。

大内さん(以下大)
当社は先代社長が昭和29年東京都大田区で機械設計請負業を個人創業、翌昭和30年「株式会社 中央設計所」を設立、名古屋への進出は先代社長の以前の勤務先同僚の方が私共の顧客に勤務されておりその方に会われたのがきっかけです。最初の仕事は航空機の部品製作用冶工具設計でした。エンジニアリング会社の中では長い歴史のある会社です。昭和38年に「株式会社 中央エンジニアリング」に社名変更し、事業拡大をしてきました。私が入社(昭和48年)当時は、全社合せて社員数約60名規模で、名古屋は20名弱の社員数でしたが、現在は名古屋地区で360名強、全社では500名の社員数となっています。事業分野は現在では航空宇宙分野のほか、情報通信、産業機械、自動車といった幅広い分野の設計技術会社として技術革新に努めております。入社当初、私の担当した仕事は航空機の部品製作用冶工具の設計で顧客から仕様を頂いて、自分たちでゼロから設計図を書いていくという仕事でした。宇宙に本格的に携わりだしたのは昭和52年、H−Uの前のH−Tロケット開発が本格的にスタートした頃ですから30年以上も前からです。今では名古屋事業本部の約70%の社員が航空宇宙分野の設計開発業務に携わっております。
 
では、東京の方はどんなものをメインに取り扱っているんですか?
 
業務の主体は情報通信機器、家電製品、ソフトウェアの開発設計ですね。最近では自動車分野にも進出しております。
 
東京と名古屋のつながりってあるんですか?
 
仲島さん(以下仲)
うーん、我々社員レベルではあまりないように見えますが管理職レベルで、技術力向上の為の会議等で意見交換がされています。なお取り扱う分野も違いますので求められるスキルも東京と名古屋は少し違ってくると思います。とは言っても面接の時点では特定のスキルを求めたりはしませんが。
 

    仲島さんのケネディ宇宙センターでの派遣業務のお話

仲島さんはつい先日までフロリダのケネディ宇宙センターできぼうの組み立ての仕事をしてらっしゃったということで、まずはお疲れ様でした。ケネディ宇宙センターではどのような業務をなされたんでしょう?
 
先日までは派遣先である顧客の宇宙部門に勤務しており、そちらでJEM「きぼう」打ち上げ実施のため、ケネディ宇宙センターに出張、派遣先の下で最終機能確認試験や艤装作業を実施していました。
具体的な業務としては、作業を実施するための手順書の作成をした後スケジュール調整を行い、作業実施時にはリーダーとして各作業者への指揮を行いました。

 
大まかな一日の流れというのはいかがでしたか?
 
アメリカでは打ち上げ間際の非定常時を除いて朝7:30に出社、作業終了は16:30でした。朝、職場に着いたら全体ミーティングをしてその日の作業を確認、その後すぐに現場での作業に取りかかります。
 
いつ頃から渡米していたんですか?
 
2003年の夏に初めて向こうに行って、2004年度は殆ど日本にいましたがその後2005年度から今までずっと向こうにいました。トータルで四年間ぐらい向こうにいたことになりますね。もちろん休みの時は日本に戻ってきてはいましたが。
 
ずいぶん長く滞在していましたね。
 
はじめは2003年に持って行って、1年後に打ち上げる予定でしたが、持って行く直前に不幸にもコロンビアの事故が起きたので打ち上げが延期になったんです。けれども「きぼう」をケネディ宇宙センターに持って行くスケジュールは既に決まっていたので、当初の予定通り向こうに持って行って、打ち上げの目処が立つまで「きぼう」を保管することになりました。
 
では、向こうでは待っている時期が長かったんでしょうか。
 
一通りシステムを作った後でも、保全作業を行いながら顧客を含め各メーカーの方と話し合いを行い、バックアップのシステム系統を追加で実装したりしていました。滞在期間は長かったですが、やはり打ち上げ直前の時期はバタバタして忙しかったですね。
 
「きぼう」に関わっていた中央エンジニアリングの社員さんは何名ぐらいいますか?
 
顧客への派遣と言う形で現地に行ったのは当初は私を含めて3名でしたが、事故の影響で打ち上げが延期になってからは、要員削減があり現地で働いていたのは私だけになりましたね。ですが、「きぼう」の各パーツの設計・開発段階で関わっていた人は他にも沢山います。何人がどのくらいのレベルまで関わったかは把握出来ていないですが・・・。パーツ改修時の設計なんかは請負契約という形で当社も請負で設計していましたよ。
 
派遣業務だけじゃなく請負業務もあるんですか?
 
設計仕様がはっきりしているもの(製造設計等)は当社の責任で設計図を作成納入します。仕様がまだはっきりしていないものや、顧客と相談しながら作業を進めないと、いけないものは派遣契約という形で行います。大きく基礎設計は派遣業務、詳細設計に入ると請負業務というように分けられます。
現状の派遣業務、請負業務の比率は派遣業務が半数を超えます、開発品作業が増加すると派遣が、量産品作業が増加すると請負が増加することになり、作業変化の度合でこの比率も変動することになります。また請負でこの航空宇宙分野の設計業務をするにはISO9001をベースに航空宇宙産業特有事項を付加したJIS規格「JIS Q 9100」品質マネジメントシステム構築が必要になります、当社航空宇宙部門は2005年8月にこの規格を第三者認証機関から認証取得しています。

 
特にJEM「きぼう」の打ち上げや各種試験作業に携わる業務は派遣業務になります。
 
生産段階に入ると請負業務が多くなります。
 
派遣と請負で違うところはありますか?
 
請負業務は当社が納入するアウトプット(図面等)に対し責任を負うことになりリスクもあります。また豊富な設計技術力が要求されます。もちろん派遣業務でも派遣先の社員と変わらない知識が要求されるので大変ではありますが。
 
入社後間もない人は、派遣業務で経験を積むということでしょうか?
 
顧客としては航空宇宙技術者を求めているわけですから。ある程度当社で教育し、実務経験を積ませる必要があります。
 
最近は特に即戦力の技術者の要求が多く、新人さんが仕事に慣れるまではベテランの社員について請負業務をこなしてもらってある程度の力はつけてもらうようにしています。 さすがに右も左も分からないような人を顧客へ派遣には行かせられないですしね。
 
先ほどここ(大江設計室)に来る途中で、中央エンジニアリングさんの教育センターの建物が見えたんですが、あそこでは一体どのような研修がされているんですか?
 
基礎的な勉強ですね。学校でやるような内容も含めて勉強してもらっています。例えば機械製図から応用数学材料力学、流体力学、複合材入門、航空機構造強度計算等、電気電子系の社員にはVB、VBA、電気・電子回路、アナログ・デジタル回路、VC++言語等の教育を行っています。あとCAD等設計ツールの基本的な操作も勉強 しています。
 
習うより慣れろ、な感じですか?
 
そう言えなくもないですね。
 

    派遣業務について詳しく聞いてみました

派遣先のどの部署に派遣されるかは大体決まっているんですか?派遣業務について詳しく教えて下さい。
 
当社航空宇宙技術部に限定して言うと、航空機や宇宙機器の機体関係の開発をやっているところが主ですね。機体の設計、構造設計、開発したものの試験をメインに行っています。他にはフィールドサービスと言って航空機のメンテナンス、不具合があった場合の報告書作成等の業務を行っている部門もあります。航空機エンジン、ロケットエンジン等のエンジン関係は他の顧客になります。当社の対応部門も誘導推進技術部となります。
 
では、前回の派遣先と同じところに行くこともありますね。
 
そうですね。H-UAロケット打ち上げ関係では、打ち上げまでの準備期間のみ派遣契約で前回派遣先と同じ所で作業する場合もあります。
 
派遣先では、宇宙技術部門に複数の課があるんですが、当社の社員はその複数の課に派遣または設計仕様のはっきりしているものについては請負で業務することになります。従い他の課や部署との連携が必要になることも多々あります。
 
普通に聞く派遣のイメージとなんだか違う気もしますね・・・
 
当社は特定派遣であり技術者派遣しかしていないので、よく話に出る一般派遣の事務系派遣とはだいぶ違いますね。 ところで、一般派遣と特定派遣の違いってご存じですか?
 
えーと・・・すいません、こちらの勉強不足でよく知りませんでした。簡単にご説明お願い出来ますか?
 
特定派遣会社は常用雇用で顧客との契約形態が派遣か請負かの違いです。一般派遣会社は仕事のある期間のみの雇用。ここに大きな差があります。技術系は特定派遣、事務系は一般派遣が主流で、一般派遣には技術系もありますがオペレーター的な業務がほとんどです。特に航空宇宙・自動車分野の様に最先端技術を必要とし豊富な経験を活かすためには常用雇用型の特定派遣でなければ勤まりません。
 
JAXAさんなどの外部との連携の時も正社員と変わらないんですか?
 
そうですね。技術的な質問などにも直接答えないといけないので業務の中身をしっかり熟知しておかないといけない、また責任のある仕事を割り振られることもあります。ただ顧客の社員と派遣社員の根本的に違うところとしては、顧客の指示の基に仕事をすることです。
 
現場とJAXAとの間に立って仕事をしているんですね
 
国際的なプロジェクトなどでは多くの民間企業が協力して一つのものを作るんですが、そういう時に実感するのは大企業の下にいるような小さな会社も結構重要な仕事をしているんだなぁということです。いわば縁の下の力持ちですね。
 
実際、航空宇宙は大規模プロジェクトであり、様々な技術者が必要とされる中で、我々が得意とする業務もあります。
 
具体的にはどんな業務がありますか?
 
細かいところで言えば、CATIAやNASTRANなどを駆使した製造設計、顧客から頂いた計画図をもとに 性能、コスト、耐久性、製作可能等の要求を満足する製品の製作方法を規定する業務です。 加工方法、組立方法、コスト面でも、航空宇宙特有のことを熟知する必要があると思います。
 
なるほど。
 
あと、当社は昔から宇宙用のバルブの設計に精通していることから、その関係で、液体水素を使った自動車にも関心があります。
 
宇宙分野での強みを他の部門でも生かせると良いですね。
 

    大江設計室って?? 請負業務について

では、請負業務の内容などについて教えて下さい。
 
この設計室で請負業務を行っている人は36数名程度になります。この設計室では、CATIA, Nastranといった設計・解析ツールを使った業務を実施しております。
 
職場の雰囲気はどうでしょうか?
 
仕事中は、やはり理工系の人が多いので作業に熱中する人が多く、黙々とやっている雰囲気があります。しかし、それほどかしこまった中で仕事をしているわけではありません。仕事中に困ったことがあればすぐに上司や先輩に相談出来ますし、他のグループの方々とも話をすることの出来る職場です。派遣先へ出ている人でもお昼休みには設計室へ戻ってきてお弁当を食べたりしながら、社員間同士のコミュニケーションを図る場になっています。
 
仲島さんの就職活動の思い出を聞かせて下さい。
 
元々は自動車の開発に関わりたくてメーカーを受けてたりしたんですが、まぁ落ちてしまって。じゃあどこを受けようかと思ったときにこの会社を見つけました。当時は自動車をやりたかったので、自動車分野に惹かれてこの会社に注目していて、航空宇宙なんて面白そうな分野もやってるんだなあとは思ってましたが、まさか自分が航空宇宙分野で働くとは思わなかったです(笑)
 
最後に、就活生に一言
 
私が就活し初めの頃は、大学に斡旋される企業の説明会に出席したり、企業展に足を運んだりして、情報収集に多くを費やしてきました。そうして、数多くの企業のお話を聞く中で、自分のやりたいことに合致するのか、今まで勉強してきたことが生かせるかを考えて目標とする企業を絞りました。就職活動は、受け身でいては何も始まりません。積極的に行動して、自分にあった仕事を見つけて下さい。
 
ありがとうございました!
 
これにてインタビューは終了です。大内さんは前回の宇宙就活にも来場していただいた方で、今年のイベント当日も来場して下さるということですので、興味を持たれた方は是非イベントにいらっしゃって下さい!

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