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ソラン株式会社

8 月 6 日、ソラン株式会社(以下ソラン)の取材をさせていただきました!
今回インタビューに協力して下さったのは、宇宙システム事業部 応用システムグループ主任の小磯佑士さんです。
 
ソラン株式会社

ソランは、 2001 年に株式会社エムケーシー・スタットとエムエス情報システム株式会社が合併して出来た会社で、宇宙以外にも金融や通信などなど幅広い分野に関しての情報システムの開発や運用を行っている会社です。システムの設計段階から、運用・管理段階に至るまでほぼ全ての業務をこなし、さらに取り扱う分野も多いというとても間口の広い会社です。
今回は、宇宙開発分野における情報システム開発をメインに取り扱う、宇宙システム事業部についてのお話や、 ソランが 東海大学・株式会社ウェルリサーチと協力して設計し、今度打ち上げが予定されている民間企業として初めての小型衛星「かがやき」についてのお話などを聞いてきました!

    ソラン 宇宙システム事業部って??

インタビュアー(以後イ)  
  ソラン株式会社って、どんな会社なんですか?

小磯様(以後小)
独立系のシステムインテグレーターですね。官民問わず幅広い分野のシステム開発、運用等を行っています。その中の一分野として宇宙システム事業部もあるという形になりますね。
 
宇宙システム事業部には何人ぐらい在籍してるんですか?
 
今は80名ぐらいですかね。そのうちの半分ぐらいが筑波宇宙センターで常駐して仕事を行い、残り半分が本社でシステムの開発を行っています。他の部署と比べてあまり大きな部署ではないですが、そのぶん皆で仲良くやっています。
 
男女比や年齢比を教えてください。
 
本社で働いている宇宙システム事業部の男女比は8:2ぐらいで、ソランの他の部署と比べると女性の比率が低いですね。
平均年齢は、IT業界にしては珍しくかなり高いです。40代50代のマネージャー的立場の人が多く、20代の社員は全体の2割程度でしょうか。うちの事業部はIT業界にしては辞める人が少なくて、会社が合併してソランという名前になる以前に入社したような人が宇宙システム事業部に勤め続けて、もうベテランの年齢層になっているので、人材としては豊富なんです。昔から衛星のシステムの基本はそれほど変わっていないのでノウハウも蓄積されていて、ある意味老舗と呼べるんじゃないでしょうか。

 
中で働いている人たちはやはり学生時代からシステムをいじっていた方々なんですか?
 
宇宙システム事業部に勤める人は理工系学部出身者が多いですが、情報系に偏ったりということはありませんね。むしろほとんどの人は入った当初はシステムに関しては素人同然だと思います。まぁ他の仕事にも当てはまることでしょうが、入ってからが勝負ですね。会社でもプログラミングの研修制度などが充実していますし。会社全体で見ると文系理系の比率は同じぐらいなんですが、研修の後は全員がプログラムを使えるようになってます
 
文系でも理系と変わらない業務を行っているんですか?
 
はい。入社当時はパソコンなんてメールぐらいしかしたことがないなんて人でも、やる気さえあれば宇宙システム事業部に入って理系の人と同じ仕事をすることも出来ますし、実際過去には宇宙システム事業部に文系出身の人もいましたソランでは文系卒と理系卒の違いはあまりないですね。
 
宇宙システム事業部の具体的な業務内容を教えて下さい。
 
大きく分けて運用業務開発業務の二つに分けられまして、運用業務は宇宙ステーションの運用管制官だったり、衛星からデータを受信して解析をしたり、先ほど挙げた筑波の宇宙センター内のインフラの整備やサポートが主な業務ですね。
開発業務はもともと得意としていた衛星運用管制システムの開発だったり、衛星データを利用する顧客向けのシステムを開発したりしています。
うちの事業部は衛星関連のシステムの開発がメインで、運用業務というのはうちで開発した商品のサポートとしてのものが多いですね。作ったシステムの運用のために張り付いて働くことはほとんどしません。

 
衛星のシステムを作っている、他の会社との違いってどのようなものがありますか?
 
我々が関わっているのは、どんなメーカーが作ったどんな衛星にも対応させられる基本的なシステムなんですね。個々の衛星の目的に対応したシステムや、衛星の仕様に依存したようなシステムを固有部と呼ぶんですけど、固有部は衛星を作るメーカーに深いつながりのある会社が作っています。我々はそれとは逆の共通部と呼ばれるシステムを取り扱っているわけです。
 
共通部を取り扱うということは、今後も安定した需要が見込めそうですね。
 
まぁ、その共通部が使われる限りは食いっぱぐれたりはしないのかな(笑)
 
先ほどおっしゃっていた筑波に行っている方々というのは具体的にはどのような業務を行っているんですか?
 
JAXAに出向というかたちで働いている方も少ないですがいます。例えば今の時期だとGOSATの打ち上げが近いので、システムを開発した責任者として打ち上げリハーサルや試験のサポートなんかをしている人達ですかね。ただ、メインはやはりシステムの開発なので、外部への技術派遣という形で働いている人はあまり多くありません。あくまでこちらでシステムを作って、納める、と。
 
宇宙システム事業部の普段の一日の流れを教えて下さい。
 
フレックスタイム制を導入しているんで、朝はぎりぎりに出社する人が多いですね(笑)出社後は、午前中に会議やミーティングをして、午後は各プロジェクトチームごとに開発や仕様調整に費やされていますが、その時間の割り振りはあまり決まっていないです。納期に間に合うように、各個人で結構好きに予定を組んでますよ。明日は飲み会があって早く帰りたいから、今日は明日の分もやっておこうなんてことも出来ます。
 
それでは、一週間なんかのもう少し長いスパンで見ると、日によって業務内容や忙しさに違いはありますか?
 
一週間ぐらいのスパンでは日によっての忙しさの山とかはないですが、やはり一つのプロジェクトが完成するまでの長いスパンで見ると、開発の時期によっていろいろ違いは出てきますね。たとえばシステム開発であれば、初期の仕様決定から基礎設計に入っていくまでの時期はお客さんや協力会社さんを交えた話し合いがメインで、一日の大半がそういった会議なんかで終わっちゃいます。そしていざ開発!という段階になるとプロジェクトチームの人数も十人以上の規模の大きなものになって、皆で一気に作り上げるという感じですね。その時期になるとやることも決まっているし、作業の量も多いので、システム開発から出来上がったシステムの試験が終了するまでがピークと言えます。
 
時期によって忙しさが全然違うと。
 
そうですね。なので、暇なときはみんななるべく休んどけ、みたいな。
 
ちなみに今は事業部的にはどの時期なんですか?
 
どちらかというとピークの方ですかね(笑)今一つの衛星のシステム開発が終わって試験フェーズに入ってるんですが、開発をしていた時期と比べると作業内容に余裕は出てきたものの、まだ気の抜けない時期にいます。
 

    国際宇宙ステーション

先ほど述べられてましたが、宇宙ステーションに関わった業務も行われてるんですか?
 
そうですね、具体的には・・・僕は携わっていないので細かくは分からないですけど、ステーションのテレコマー系のサブシステムを作っているチームもいましたし、今だと筑波の方に行ってシフトを組んでISSの運用管制官として4名が働いていますね。宇宙飛行士の方にどのようなことをしてもらうかという作業計画作りと、その対外調整をしている人が4名、あと地上系の作業で2名、計6名が宇宙ステーション関係の業務に取り組んでいます。
 

    子供たちの夢をのせた小型衛星“かがやき”

小型衛星“かがやき”はソラン株式会社、東海大学、株式会社ウェルリサーチとが協力して、民間企業として初めて設計した小型衛星です。JAXAは「宇宙の敷居を下げる」ことを目的として2006年5月から民間企業・大学等に対してH-UAロケット相乗りによる小型衛星打ち上げの公募を行い、審査の結果、かがやきは2007年5月16日に初回打ち上げ搭載衛星に選定されました。子どもたちに宇宙をより身近に感じてもらうことを主な目的とし、そのためのミッションとしてオーロラの撮影や子供たちの描いた絵を宇宙に展示する宇宙キャンバスなどがあります。
 
日本初の民間企業制作の小型衛星を作られたということですが、ソランさんはどのような部分を作られたんでしょう?
 
うちの会社はソフトがメイン、ハードウェアの経験は無かったので、機体の設計などはウェルリサーチさんに任せてますね。ソランは主に衛星のシステムを手がけています。ただし、制作が終わっても打ち上げてからの運用は会社全体でこなしていく予定です。データの受信や解析を行う時は、全国各地のソラン支社にも専用のアンテナを設置して、地方にいる社員さんにも協力をお願いするんですね。既に宇宙システム事業部でない社員さんからも、アマチュア無線の免許持ってるんで、協力しま〜すと言う声はちらほら上がっていますね。
 
製作に至った経緯を教えて下さい。
 
かがやきの話が出る前、JAXAさんの方でGOSATの相乗り衛星を募集しますよ、というアナウンスが流れていました。ソランは基本的には地上側の追跡管制システムの取り扱いがメインで、衛星側の搭載機器のシステム等は専門外だったんですが、せっかくのチャンスだから挑戦してみよう!と宇宙システム事業部の何人かが言い始めたのがきっかけだったと思います。
 
そんな小さなきっかけだったんですね。
 
そうですね。かかるお金も結構なものになってしまうので会社の上層部を説得しなきゃいけなかったんですが、会社の社風として、やれることはやってみればいいさみたいな割と自由な考えがあったので上層部からも意外なほど快い返事をもらえたみたいです。
そして仕事のつてを利用して株式会社ウェルリサーチさんと東海大学さんに協力を依頼してかがやきの草案を作りJAXAに応募した、というのがかがやきプロジェクトの始まりでしょうか。

 
ということは、かがやきはウェルリサーチさんとソランさんとの共同出資の計画なんですか?
 
いえ、かがやきへの出資はソランだけが行っています。ウェルリサーチさんにはこちらがお金を払って正式に契約している形ですね。今回のプロジェクトは、あくまでソラン株式会社の社会貢献プロジェクトなので。もちろん東海大学さんにも必要な材料費などは支払っています。
 
ソラン自体は利益を求めてないんですね。
 
そうですね、直接の利益は求めてません。かがやきを作ることで得たノウハウを今後の業務に応用することを考えているぐらいでしょうか。かがやきはまだJAXAとの調整などが残っていて完全には出来上がっていないので、打ち上げに間に合うように頑張りたいと思います。こちらの都合でロケットの打ち上げを延期することは出来ないですからね。ちなみに、万が一ロケット打ち上げまでに完成が間に合わないとかがやきのかわりにかがやきを模した張りぼてが宇宙に飛ぶことになります。
 
それは大変・・・。頑張って下さい!
 

    小磯さんについて

小磯さんがソランに入社して何年ですか?
 
2000年入社ですから、9年目ですね。会社が合併してソランという名前になる前の、エムエス情報システムという会社の頃から、この宇宙システム事業部に勤めていました。 その頃から業務内容は変わってませんね。
 
なるほど。就活はどうでしたか?
 
就職活動はやはり宇宙分野中心でした。たまたまその時の学科の3つ上の先輩が既にエムエス情報システムに入っていたので、いろいろ情報も聞くことが出来たんですね。宇宙関係の業務も行う、と謳った企業でも実際はほんの少ししか宇宙に関わった仕事が出来ない会社も沢山あるじゃないですか。でも、話を聞くとここはガッツリ衛星の管制システムをメインに作っているんだなぁとわかったので、安心してここを受けられましたね。
 
就活していたのは10年前ですよね。俗に言う就職氷河期の時代だったと思うんですが・・・
 
そうですね。氷河期真っ盛りの時代でした。ですが、比較的早い時期にここに内定を貰えて、タイミング良く信頼出来る先輩からの話も聞くことが出来たので、就活自体はすぐに終わりました。大学の同期には、宇宙業界を目指していても宇宙業界に入れなかった人が多くいたので、そういう人たちからは羨ましがられますね。
 
会社の合併の時にはなにかトラブルはありましたか?
 
そうですねぇ、合併の話が出たのは二年目の秋ぐらいでしょうか。事業部長がいきなり「みんな、ちょっと集まってくれ」なんて言い出して、いきなり今度うちが合併するらしいとか言われて。どうなるんだろうと心配はありましたが、結局会社の名前と規模が変わっただけで、事業部のメンバーや事業内容の根本は変わりませんでした。リストラみたいなものも無かったですし。むしろ事業部の部屋が新しくなったんでよかったです(笑)
 
小磯さんの今後の目標はありますか?
 
今までとは違った宇宙の良さを皆に感じてもらえるような仕事がしてみたいですね。
日本の宇宙業界はどうしても伝統的だったり、古風な世界になっちゃうので・・・。他のIT業界の風通しのいいところなんかを見習って、宇宙業界でも新しいことがしてみたい

 
新規事業を起こしてみたいということでしょうか?
 
そういうのもチャンスがあればやってみたいですね。会社にもベンチャー支援制度と言って、新規事業だったり新会社だったりの設立の支援をしてくれる制度があるので。もちろん審査は厳しいですが、社内では既に何件か実績がありますし。
 
小磯さんが働いていく中で、自分が大事にしている心構えを教えて下さい。
 
プロであることを意識して、胸を張って仕事が出来ることを目指してます。とはいってもこの業界は上には上がいくらでもいるので、自分はまだセミプロぐらいなのかもしれませんが。
 
小磯さんにとってのソランの魅力とはなんでしょうか?
 
かがやきの話の時にも言いましたが、やりたいことをやらせてくれるような、風通しの良い社風が働く上での魅力ですね。会社として自由さを認めてくれるととても働きやすいです。
 
それでは、逆にソランに感じている不満な部分は・・・ありますか?
 
会社の野球部に若い部員がいないことです!9年目の僕が未だに若手扱いされるぐらい、若い選手が少ないんです。IT企業同士で野球のリーグ戦を組んでいるんですが、今シーズンの対外試合の成績もあまり良くなくて・・・。なので、野球が好きな人がソランに入ってくれるといいなと思ってます。というか、期待してます。
 
では、そこ赤字で強調しときますね(笑)
 
是非お願いします。
 
最後に、就活生へのメッセージを一言。
 
就職活動っていうのは、やっぱり自分を知るいいきっかけになると思います。学生のうちは周りに流されたままだったっていう人も多いと思いますし、自分が本当に何をしたいのかまだ分からない人もいるでしょう。そんな中でどんな会社に入るかを考えることは自分と向きあうちょうどいい機会なんじゃないでしょうか。宇宙業界で働きたいという目的があるのであれば、宇宙業界で自分は何が出来るかということを考えて、その上で自分の中での優先順位を決めて動ける人が強いと思います。ただお金を稼ぎたいのであれば宇宙業界以外で働いた方が稼ぎはいいかもしれませんが、お金にこだわらないで夢を追いたいのであれば、夢をつかむための道はたくさんあると思います。どちらを選ぶかは自分次第ですが、後悔の無いよう頑張って下さい。
 

(写真中心:小磯様 抱えられてる人:平谷)
 
これにて本日のインタビューは終了です。インタビューは僕が終始緊張しっぱなしであたふたしていましたが、小磯さんが優しく対応して下さったおかげでとても内容の濃いお話が聞けました!本当にありがとうございました。
 
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