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宇宙技術開発株式会社
みなさんこんにちは!!宇宙就活2008PM(プロジェクトマネージャー)の、のーみ@僕の取材記もようやく2回目!!です。
なれないことにまだ戸惑っていますが少しはまともな文章になってきたでしょうか?


2008年8月13日に宇宙技術開発株式会社(以後SED)中野本社にてSED 管理部 総務人事課 林 伸直様にお話を聞いてきました。
 
宇宙技術開発株式会社
今回の取材目的は林様が事務系のお仕事をされているということで事務系志望の学生に対してSEDで働くイメージを提供できたらなと思っています。

そんな今回の取材記、それでは行ってみましょう♪

    事務系の仕事=文系出身だけ って訳じゃないみたいです

インタビュアー(以後イ)  
  林様の学生時代について教えてください。

林様(以後林)
取材の趣旨とちょっとずれちゃうかもしれませんが、僕は文系出身じゃないです。管理工学といって、人、もの、金、情報をどうやって管理していきましょうかっていう一応理系の学問を専攻していました。大学では、現場も知らなければいけないということで旋盤をまわしたり、組み立てラインをどの様に配置すれば効率的かとか、プログラミングとか、いろいろやってました。
卒研は人に関わることをやってみたいということで、従業員のモラールサーベイという文系っぽいのを選びました。

 
SEDに就職された経緯を聞かせてください。
 
就職は”人と関わることがやりたい”というのを基準で探しました。加えて宇宙が好きだったので、宇宙関係の企業をいろいろ探し、最終的にSEDに決めました。
20数年前のSEDは、従業員が80人ちょっとのできたばっかりの会社でしたが、人にかかわることと宇宙ということで選びました。面接の際に、「もしかしたら、技術系に行くかもしれない」と言われましたが、宇宙関係のことに関わりたいと思っていましたので、それでもいいかと思って入社することに決めました。

ただもうひとつ障壁があって、父親にSEDへ就職することを報告した時はすごく怪しまれて、大学出たのに100人以下の会社なんてって反対されました。でも父親が自分でいろいろ調べたら、結構評判がよかったみたいで最終的に「いいんじゃねえか?」となって、めでたく就職することができました。

 
入社後はどういったキャリアを歩まれたんですか?
 
基本的に総務、人事関係をやってきました。入社した頃はオフコンからパソコンでのデータ整理が始まったころで・・・。時代ですね。
今はあまりないかと思いますが、「お前は2か月間仕事するな」って言われまして。要するに見て覚えろということですね。というわけでいろんなとこに雑用に行って仕事を見て覚えました。これまた時代ですね(笑)。
でもその分いろいろなところを見て回れましたし、何より総務だったから偉い人とも簡単に会えたのが良かったです。また、そのころから人事情報をパソコンで管理するということになりまして、自分の専門でもあったので、そっちも手伝ったりしていました。というわけで人事や総務、技術っぽいこともいろいろと経験してきたことが、今のキャリアといえばキャリアですね。

 
宇宙業界での事務系(文系的?)な仕事って何があるのですか?
 
宇宙業界として特別な事務系部門があるかといえばほとんどないですね。
ただ業種というわけではないけれど、宇宙ということで特別なことといえば、“情報管理”に本当に注意しなくちゃいけないところです。当り前のところに転がっている情報が秘密情報だってことに十分注意しなくちゃいけない。例を挙げると、ロケット打ち上げ時期がありますね。宇宙業界であれば、打ち上げ時期は当たり前の様に仕事で扱うわけですが、打ち上げ時期がJAXAから正式に発表されていなければ、これは秘密情報なのです。

 
林様のように理系でありながら事務系の仕事を担当されている方はいらっしゃるんですか?
 
バリバリの理系ではないけど、私と同じ管理工学出身の部下がいます。ただ事務系自体が全社のなかでは10パーセント以下ですので、その割合は少ないですね。
 
事務系の社員数が相対的に少ないですね、やっぱり就職も厳しいのでしょうか?
 
事務処理要員は欠員が出れば採用するけど、年によって採用したり、採用しなかったりするので、門戸は広く開いているわけではありません。厳しいといえば厳しいですね。
 
新卒で事務系を取らないとなると中途での採用をメインとされているのですか?
 
いやうちは全ての職種で中途採用ゼロ。全員新卒を採用します
特別な技術やノウハウが必要とされる業界ですから、中途採用であっても一から鍛え直すことは変わりません。であれば新卒を、素の状態から鍛えるほうが良いと考えて、このような戦略をとっています。

 

    SEDのあれこれ 創立秘話 新入社員 苦労

SEDの設立経緯とは?
 
もともと、グループ会社で内之浦の設備の保全作業などを実施していましたが、昭和48年に宇宙開発事業団(現JAXA)がアメリカから輸入した、“飛行安全管制システム”を、日本版に変換したというのが、本格的に宇宙産業に参入するきっかけになっています。
ただ、この会社は、メーカーの資本が入っていたので、今後、この業界でより一層発展するためには、どのメーカーにも属さない中立が理想であると考え、昭和58年に独立系企業として設立されたのが、SEDの設立経緯です。

 
飛行安全というのは大事な概念だと思うのですが、なんで国の宇宙機関がやらなかったんですか?
 
全ての事柄について、政府機関の限られたリソースで実行できるわけではありませんので、昔から民間会社に発注することが行われていました。もちろん、政府機関の中にも専門家はいらっしゃいますので、技術的要素等をしっかり監督され業務を遂行します。また、当然、最終責任は彼らが持ちます。
 
一週間のタイムスケジュール&一か月のタイムスケジュールを聞かせてください。
 
月曜日は朝一番で全社管理部門の会議、当然、全社ですから、筑波や種子島の管理系もTV会議で参加します。
あと水曜日には、全社の経営会議が開かれるので、事務局として参加して議事録作成などもやってます。
会議のないときは、総務や人事関係の事務処理や、採用の仕事といろいろとやっています。 1ヶ月のタイムスケジュールというと、その月によって全く違うので、4月の例を挙げますと、1日は入社式、その後、約2週間、新人の受入研修を実施します。その間も採用活動を進めているので、会社説明会を開催したり、面接を行ったりとバタバタと働いています。

時間外勤務はその月々で違ってきますが、多いときは月50時間を超えるときがありますね。ただ、SED全社的で見ると、月平均20時間程度なので、時間外勤務はそれほど多くはないと考えています。ただ、打ち上げなどのイベント前だと月50時間を超える勤務になっている社員を見かけます。(笑)波もありますし、部署によっても違います
ただ、だらだらと仕事をやってもしかたありませんので毎週水曜日は定時間退社日と定め、定時で帰らないと駄目ですという日に設定しています。働くときは働いて、遊ぶときは遊ばないとね。

 
SEDでの入社 一年目ってどの様な感じなのですか?
 
原則は希望を聞いて配属を決めます。ただ、その時の会社の状況によっては希望通りに配属出来ないこともありますが、例年、7〜8割ぐらいは、希望通りの配属となっています。
希望以外の部署に配属する際も、本人の専攻等を勘案して配属先を決めています。
それから新入社員には、必ず先輩社員一人つけます。その先輩が中心となって、1年間をお尻を叩きながら教育していきます。
あとの教育方針は部署によって違いますが、原則OJTです。たとえば衛星運用の部署だと我々が独自に設定している資格認定に合格しないと、運用卓は一切触れないので、だいたい3か月ぐらいで、その資格認定に合格するように集中的に教育します。また、飛行安全業務の新人の中には、配属されていきなり種子島の現場に行く人もいました。
よく、OJT中心で大丈夫ですかという質問があったりしますが、3ヶ月毎の目標を設定して、その目標をクリアできるよう教育しますので、OJTといえども体系立った教育をしていると考えています。

 
最初に与えられた配属が希望に沿ったものでなかった場合どうするのでしょうか?
 
基本的には最低3年間は経験して下さいとしています。短期間では、技術が身に付きませんし、何事もやってみないとわからないですから。
配属時はいろいろ言っていた社員でも、やってみたらこっちがいいって人が、ほとんどです。また、それなりの結果を出して半年で異動した人もいます。結局は本人次第ですね
ただここはアピールしておきたいのだけど、うちの会社の退職率は、いわゆる寿退社の方を含めても2パーセント以下です。ある種、それは今の状況に社員が満足しているってことだと自負しています。

 
SEDの宇宙業界での立ち位置、展望を教えてください。
 
我々は、飛行安全、射場運用、衛星運用、ISS運用等という重要な役割を担っており、日本の宇宙開発に欠かせない存在であることは間違いないと自負しています。
ハードウェアは作ってないけれど、我々独自のノウハウによって宇宙業界に貢献していきたいと思っている。たとえばちょっと公にはできないけれど、これを見てほしい。

*皆さんにお見せできないのが残念ですがISSの運用チームのシフト表の一部を拝見させていただきました。

これを見るとわかるけど、ISS運用チームはいろんな企業から構成されているよね。そういった状況の中で、わが社の社員がこの中にたくさんいるわけだ。
仮にISSひとつとっても我が社なしにしては回らないということを言いたくて、これを持ってきました。

 
ほかの宇宙系企業に比べてSEDならではの苦労などありますか?
 
あえて言うなら規模が大きい会社というのは、やはり福利厚生が厚いですね(笑)。種子島に赴任するときも大規模企業だと社宅を持っていますが、我々のような規模ですと一般のアパートを会社として借りるという形態をとっているので、それなりの苦労はありますね。
あと、採用に関しても苦労している(笑)、最近はメーカー系の宇宙企業に内定したからって、うちの内定を辞退する方が増えきています。皆さん、ぜひSEDへ来てください。
これぐらいかなぁ・・・

 

    SEDに入るには??

入社する学生に対して何を期待していますか?
 
基本は自分で考えられて、自分で動けて、自分で学べる人間が欲しいなと考えています。 もちろん会社から、いろいろと指示はするけれど、そういう能力があるかないかで入ってからの伸びは大きく変わってきますから。
最近の学生はそうではないと信じていますが、就職することが単なるゴールになってしまっている人が少なからずいるように聞いています。そういう人は、自分で勉強しないから、会社に入った後も伸びないと思います。会社に入ってからが本当の勝負だってことを肝に銘じてほしい

あとはやっぱり”宇宙が好きな人”に入って欲しいですね。

それと、うちの社名には宇宙という言葉が入っていることから”夢のある”と考える人がいます。しかし、宇宙業界はそのイメージに比べると地味で泥臭い仕事がたくさんあります。でもその仕事ひとつがなくても日本の宇宙開発が回っていかないってことも覚えておいてほしと思います。

 

    SED本社オフィス

情報管理の観点から、個人の机には引き出しがない。

SEDオフィス写真。
情報管理を徹底するためにすべての私物は毎回個人ロッカーにしまわれることになっている。
 
林様には取材後社内を案内して頂くだけでなく、別の取材先を紹介していただくなどとてもとてもお世話になりました。ここに深く感謝の意を表してひとまず取材記の筆をおきたいと思います。
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