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有人宇宙システム株式会社 有人宇宙システム株式会社
5月9日有人宇宙システム株式会社(以後JAMSS)の取材をさせて頂いて来ました!
今回は人事担当の山入端さん(やまのはさん)にインタビューに協力してもらいました。

JAMSSは“ひとと宇宙を結ぶシステム・インテグレーター”として、“有人”に関わる宇宙開発業務を行っている会社です。
具体的には、宇宙航空研究開発機構(以後JAXA)とともに国際宇宙ステーション(以後ISS)の日本の実験棟“きぼう”の安全・開発保証業務、利用・運用業務のインテグレーターとしての支援、また宇宙飛行士の選抜や訓練も行っています。
完成が近いISSの旬なお話はもちろん、2015年ISS計画の終了後は?という将来的なお話まで、いろんなお話聞いてきました!
インタビュアーは、久保田と能美です。では、早速どうぞ!

久保田(以後、久)   
  いきなりなんですが、御社の理念と、今後の宇宙開発にどのように貢献できるとお考えかお聞かせください。
 
山入端さん(以後、山)
  ひとと宇宙をむすぶインテグレーターでありたいというのが弊社の理念です。究極的には人々が、宇宙を身近に共有できるようにしたいですね。今後どう貢献していくのか?ということに関しては、やはり我々の強みは有人なのでそれをベースに行っていきたいですね。また、もっといろんな人たちが宇宙に身近にかかわれるような事業を行っていきたいですね。宇宙をサイエンスの世界からもっと下げようと思って、さまざまな事業に取り組んでいます。

    JEMの有償利用、宇宙酒、結婚式・・・

JAMSSではISSの運用業務以外にも、一般の人と宇宙を近づけるような業務も行っています。2015年ISSの運用終了後には、一般企業による有償利用を行う計画も立ち上っているそう。

能美(以後、能)  
  宇宙結婚式を企画していると聞いたんですが、宇宙結婚式とは何でしょうか?宇宙で結婚式をやるということですか?

や、そういうことではなくてですね(笑)プラチナギルドという、ある会社がですね。そこの会社の婚約指輪を購入していただいた方はお写真とメッセージをソユーズに乗せて宇宙まで持って行って、帰ってくるって言う、要するに宇宙にいったという記念、ですね。こういう企画を販売促進のために行ったんです。何もサイエンス的なものはないんですが、ある意味夢みたいなもの?に皆さん魅力を感じられたようで、販売が伸びたと、こういうことをやったことがあります。
 
なるほど〜
 
また、今現在進行中のプロジェクトとして、子供たちが摘んだ桜の種をですね、宇宙に上げることをやっています。自分たちの街のものが宇宙へいくということから、将来、子供たちに宇宙のサイエンス側にも目を向けてほしいな、と言うことで取り組んでいます。 あくまでもこれは全体の事業の中でも一部なんですけどね(笑)
 
やっぱりメインの業務は宇宙飛行士の訓練なんですか?
 
そのとおりです。それが出来なくては、わが社はわが社足りえないですね(笑)。それに加えて先に述べたような事業をやっているということです。
 
たとえば、JEMの有償利用に関してどういうプロジェクトが集まっているんでしょう?
 
たとえば、お菓子の会社がスポンサーとして使いたいという話があったりします。
また現在検討段階ですが我々が共同開発を行った、加圧トレーニング機を宇宙にあげよう、などでしょうかね。まだあまり公開はできないんですが・・・

 
ありがとうございます。

    JAMSSってどんな会社?

では今度はJAMSSさんがどんな会社なのかについてお伺いしてよろしいでしょうか?
 
いい意味でも悪い意味でも一人一人がもつ仕事というのはかなり大きいですね。メイン事業がJEMの運用利用なので、まさに今走ってる状況です。人手は本当に足らないんですが、会社としてはバッと人をとるわけにはいかない、というわけで。それこそ即現場、ということでケネディースペースセンターに一年目から派遣したりしています。若いから下働きというよりは、やりたければ前に出ていける環境ではあると思います。まぁ今後の課題は、如何に教育体制や運用に即した体制をを整えていくのか?ということでしょうかね。
 
なるほど
 
うちの会社は比較的、若い会社なんですね。ほとんどの社員は中途として採用された人ですし、やっと、最初に新卒採用した人が中堅に育ってきたなという感じです。そういう意味でまだ一つのカラーに染まってはいませんが、社風についてはまさに今出来つつあるプロセスと言えると思います。
 
ちなみにやまのはさんは?中途で就職されたんですか?
 
実は証券会社にいたんです。この会社ができて一年目のときに就職しました。
 
えぇ!すごく意外です!!
 
「当時はバブルだったので(笑)就職活動=小遣い稼ぎという、ずいぶんとまぁあり得ない考えを持っていまして(笑)。
法学部を卒業して当時花形だった証券会社に就職して、日本の経済を引っ張っていくか、とは思っていたのですが・・・まぁなかなか合わないなぁと感じまして、他の場所を探していたところこの会社を見つけました。
実はその時技術職しかとっていなかったんですが、それでもアクセスしてみたら、その時の担当者が面白いということで採用していただきました。」

 
やっぱり宇宙系を目指されていたんですか?
 
まぁ男の子は誰でも一度は思いますよね。パイロットにも興味もあったんですが、目が悪いということで法学部に行ったんですよ。転職のときに昔あこがれの世界になんとか関わっていければ良いなと思っていたら、なんとか入れたという感じです。
 
証券会社との違いとはどの辺にあると思いますか?
 
私は事務屋ですからやってること、営業、人事等、は他の会社と同じといっては同じですが、扱っている商品が宇宙ですからそこがまず違います。あとは、会社にいても宇宙マニアでいい!! ということでしょうか。会社にも多いですしね、というかまぁそうでないと仕事がやっていけないですしね。
 
中途採用の割合というのはどれぐらいなんでしょうか?
 
全体の3分の2は中途ですかね。最初は出向者という形でこられた人がほとんどでした。内部の人間が育っていくにつれて、中途で採用を初めて行きました。現状では総勢198人、9名が出向、ほかは全部うちの社員ですね。とはいっても30人ぐらいは今度はJAXAに派遣しています。
 
30人もですか?
 
JAXAから請け負って行う業務がやはり多いですからね。3年ほど私自身も派遣されていました。JAXA側の職員として、予算の折衝や安全管理をやっています。面白い話なんですが、我々がJAXAと仕事をやっているときに、JAXA側の担当者が我々の会社の社員だったということもあります(笑)。
JAXAの中の有人宇宙にはかなりかかわっていますね。

 
設立経緯をうかがってよろしいでしょうか?そもそも、JAXAにも有人宇宙部門があるのに、なぜJAMSSが立ち上げられたのでしょうか?
 
レーガン大統領がISSを作ろうと号令をとったときに、日本側では当時のNASDAがその仕事を請け負いました。当時NASDAはなんとか国産ロケットを開発しようという雰囲気でした。つまり無人でしか業務を行っていなかったんです。有人になると無人に比べて安全性の要求度合いなど、考慮に入れなければならないことが一気に増えるわけで、組織として新しいものを急に立ち上げなければならなかった。
しかし、当時のNASDAは特殊法人なので人事勧告というものがあり、急に人は雇えない。仕事はある、人はないし、増やせない、というわけで、じゃあ会社を作ってしまおう!! ということでできたのがわが社です。当時宇宙開発に同調してくださった会社群がほぼ均等に出資して出来ました。政策的に作られた会社なので、民という形をとってはいますが90パーセントぐらいの仕事は官、ですね。

 

    どんな人がJAMSSに向いてるの?

民間に対する仕事としては先に伺った業務以外にはどういったものがあるんですか?
 
有人宇宙関係以外でしたら、我々は安全審査業務も行っているので、第三者機関として、企業の製品の安全性を審査したりする業務がありますね。
 
宇宙開発=ものづくりというイメージがあったので、そういう仕事があること事態が驚きです。
 
そうですね、我々は “ものづくりをしたい方”にはうちは向かないとよく言います。我々は幅広い、知識を元に、ありとあらゆる要求をまとめ上げていく業務が主です。どちらかというとペーパーワークが主なので、それでもいい、という方には来てもらいたいと思います。
 
まさにインテグレーターですね。
 
そうですね。そのかわりといってはあれですが、宇宙飛行士の選抜業務の一部も我々がやってるんですね。  我々が選考基準、テストを作り、JAXAが認証して、JAXA公認としてやっているんです。我々が最初に採用のお手伝いをしたのは若田さんからです。それ以降は全部我々ですね。そして、彼らを選抜するだけではなく、日本人以外も含めたJEMを利用する宇宙飛行士を教育する仕事も我々の仕事なんです。
 
彼ら以外も?外国の方もということですか?
 
国際的な取り決めがありまして、ISSはその装置を作った国で教育しなければならないんです。  外国の方もJEMの中に入って作業をされるので、世界中の方に対してJEMのインストラクターになっているのが、われわれです。 そういう意味でハードは触りませんが、ハードの知識は持っていないといけない。どうできているか、はともかく、使い方は知っていなければならない。そして事故があったらどこがおかしくなるかは知っていなければならない。 そしてそれを教えられるようでなければいけないわけです。単なる技術好きではいられないわけです。
 
本当にいろんな能力が要求されるんですね。
 
もちろん、そういう人にはそういう人向けの仕事もありますがね(笑)
 

    事務系業務と採用のお話

今まで技術系の方向けの業務内容をうかがってきましたが、事務系職員の業務とはどういったないようなのでしょうか?
 
先に述べましたように、事務系の業務内容は、やっぱり他の会社と同じですね。ただ、入るのは難しいです。事務系の人数は非常に少なくて10パーセントぐらいですし。極端に増やすこともできませんしね。一応枠としては設けていますが・・・。基本的にほとんど中途採用ですし。  あえて取る場合はやっぱり人柄でとりますね。自己研鑽(けんさん)能力があって、なんにでも興味を持ってくれる人、自己アピールができる人をとると思います。  どこかの学部が有利ということはないですね。基本理系の採用がメインですが、ISS間近には、一時文系を増やしたこともあります。
 
なるほどやっぱり狭き門なんですね。
 
ただ事務方に限らずよくいるんですが、新卒でJAMSSにけられて中途で戻ってきた方とか、面接をしていて、新卒では難しいから他に行って修行してきて、中途として入っておいでと言った人もいます。 実際に戻ってきてくれましたからね。なんか嬉しくなっちゃいますよね。  そういう意味で、新卒と中途を同じぐらい取る会社なので、狭き門なんですが、新卒のときに入れなかったからと言って諦めないでくれと学生には伝えたいですね。むしろ中途は即戦力なので、しっかり自己研鑽をされた方であれば、こちらから頭を下げても来ていただきたいですし。  これに対して、新卒はこれから伸びそうな人を取るんですね。学部は関係なしにポテンシャルを見ています。うちの会社はオールマイティな人間ではなく、チームで仕事をする人間が欲しいので、コミュニケーション力、協調性のある人間がほしいですね。ちょっとくらい言葉遣いとかがおかしくてもこいつ伸びそうだなと思ったらとりますね。  そういう意味で、大学時代これをやってきました!!自分の中で何が残り、何が力になったといえる人間は強いと思います。やった結果、駄目だった、でもいいんです。ある方向性をもって努力してきた人というのは魅力的に見えますね。きちんと自己アピールしてもらえればなと思います。自分の強みは何で、自己実現をどうして生きたいのか、これを伝えてほしい。  うちの会社でも筆記試験はありますが、やっぱり面接の優先順位が高いですね。筆記試験の点数ではなく、面接でいいと思った人を筆記試験で確認するような形でとっていきます。 特に学卒だとそうですね。院卒のほうがどちらかというと、自己表現がうまい人が多くて、大卒は下手な人が多いので、そこも見ています。どこの会社でも同じだと思いますが、本当に新卒はポテンシャルを見るんです。  学生さんはよく学部で自己紹介をされますが何学部出身だとか、学卒だとか、社会に入ったら関係ないですしね。会社に入ったら仕事ができるか、できないかで優劣が付けられてしまいますから。
 
JAMSSのエントリーシートを見るとかなり宇宙業界について突っ込んだ知識を要求しているように思えますね。
 
この業界はある意味狭いので、学生の意気込みが選考基準の一つになるのでエントリーシートもこういう形にしています。
 

    ISSが終わった後のこと

将来の話が出てきていたので、伺いたいのですが、ISSが終わった後はどうされるんでしょうか?
 
ご存じのとおり、ISSは2015年で終わります。宇宙開発は、やっぱり民間企業単独でどうこうできることでもないので、不確定要素は多いのですが、我々の会社は日本唯一の有人宇宙の技術を持つ企業なので日本が有人宇宙開発をやめない限り存在価値はあります。この技術を生かしてやっていこうということです。 あとは国家としてのISS運用が終わった後に、民間としてISSを利用していくことも考えています。情勢にもよると思いますが、2015年以降の運用資金を民間会社が出してくれるのであればそれも動いて行くでしょう。 また、今後動いていくであろう “月・火星の探査計画”についてはJAXAもやると明言しているので、そこに食い込んで行こうと思っています。ただ、月、火星に関して有人はすぐ始まっていかないでしょうから、それまでどうするのか、ということに関しては、本当に内部の人間同士で議論しているところです。  今後の動きに関してはISS後、宇宙関係を利用するためのインフラがどの程度のことっているのかによると思います。一応それに備えて、いろんな企業と手を組み、今後の事業の種まきは行っていますが。基本的には、民間会社で宇宙利用をしたいというところをとりまとめを行っていこうという感じです。  JAXAについても、宇宙開発委員会についても 民間でタッグを組んでサポートできる体制を整えていきたいですね。 また、企業として、生きていくに当たっては無人(宇宙開発)のこともやっていく力がないと話にならないので、無人宇宙開発の分野でも仕事は取れるような体制をとっています。無人関係の部署も実際存在していて、いろいろな仕事に種まきしています。
 

    最後に・・・

最後にひとつだけ、JAMSSに入って一番良かった事、辛かった事を教えてください
 
嬉しかったことは、宇宙っていう非常に特殊な世界を自分の仕事の現場にできていることですね。子供のころに思っていた世界を仕事にできていることを本当にラッキーだなと思います。 それに、自分の子供がテレビで宇宙飛行士や宇宙船を見ているときに“あの人、お父さんが訓練してるんだよ、あいつ、訓練のとき失敗して大変だったんだよ”とか言えることがすごい嬉しい。宇宙だなんて、いつまでも、夢みたいなことを言えることもうれしいですね。  またやりがいとしては、税金の無駄遣いだとかいろいろと評価は分かれていますが、宇宙というまだ未開発の領域の最前線にいる、今自分がやっていることが今後の宇宙開発の未来につながっていく、ということもあると思います。
 
辛かったことは・・・ISSが上がるまでですか?
 
うーん、まぁ社会人としての大変さはどこの会社もありますよね。ただ、特筆すべきは・・・強いて言うなら、いろんな組織から来ている人間が集まった、比較的新しい会社なのでそれをまとめ上げていくことでしょうかね。いまでもまさに試行錯誤しているところです。
 

これで、約1時間のインタビューは終了しました。 山入端さん、はじめてで拙い私の進行を暖かく見守って下さってありがとうございました^^

山入端さんご自身の人生経験やお仕事のやりがいからISSの運用終了後のJAXA・JAMSSの動向まで、いろんなお話をして頂き、すごく有意義なインタビューでした!

やっぱり直接お話聞ける機会って素敵ですね♪

(左、能美 右、山入端さん)
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