中村和行様(以後和): |
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宜しくお願いします。今回のイベントは宇宙業界がなんだか分からないから、このイベントを立ちあげったって話でしたが、皆さん、どんな印象を持っていますか?
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イ |
僕の印象としては、始めはすごくロマンにあふれたフィールドだと思っていました。でも、大学に入って、いろいろとお話を聞くうちに、そんなに甘くないぞと(笑)そこで食べていくという事に関しては、なかなか厳しいという印象を持ちました。
ただそんな中でも、情熱を持って働かれている方がすごく多いなという印象も持っています。(能美)
私は、扱っているものが大きいのに対して、それに関わっているコミュニティーがすごく小さいなという印象を持っています。そういう状況のなか、今後は他の業界とも交流を持って、どんどん発展していける業界だなという印象を持っています。(春木)
私は、まだ宇宙業界のことをよく分からない立場なのですが、まだ始まったばかりで、いろいろな可能性がある業界なのかな、という印象を持っています。(久保田)
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和 |
なるほど、分かりました。まず、言いたいのは、外から見ているのと中で働いてみるのでは、大分違った印象を持つ業界だと思います。外から見ると、夢やロマンが大きく写ってしまうようですが、中で働いてみるとやっていることは、なんら宇宙業界以外の企業と変わりないんです。
そこを理解しているかどうかは大事なポイントだと思います。やっぱり夢だけでは仕事はできませんからね。われわれ自身も、宇宙の仕事がしたくて会社を興したわけじゃないんです。今の仕事の内容に宇宙関連が多いのは、私たちの今までの仕事の流れの影響なんです。
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イ |
そうだったんですか
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和 |
テクノソルバは4年半前に私と妻(中村信子様)の2人で立ち上げた会社です。それまで、私はまさに宇宙開発関係の仕事、人工衛星の開発をやっていました。
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中村信子様(以後信): |
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私も、人工衛星の開発をやっていました。民生品の開発に関わっていた時期もありましたが。
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和 |
私たちは、そういうバックグラウンドを持っていて、なぜ、起業しようと思ったかというと、われわれはエンジニアで、ものを作る仕事に関わっていたいという思いがありました。でも、大企業の中では、自分のやりたい仕事をできることは少ないんですね。例えば、キャリアを積むと、システムの設計やプロジェクトマネージメントや企業自体のマネージメントなどに仕事内容がシフトしてくるんですね。
そうすると、自分たちが思い描いていた仕事と内容とはギャップが出てくるんです。
テクノソルバは、構造解析(CAE)をメインにしていますが、もともと二人ともそれをやり続けていたので、構造物の構造解析をすることで、設計をより改善することにとてもやりがいを感じるんです。
やはり宇宙関連のプロジェクトはとても規模が大きくなりますので、私も大手の企業にいた頃、プロジェクトマネージメントに仕事内容がシフトしていってしまったんです。私にとっては、そういった仕事にあまりやりがいを感じられなかったんですね。そう感じていたときに、同じ仕事をしていて、同じスキルをもった妻と一緒にいろいろと話し合って、構造解析という技術は、宇宙業界だけではなく、いろいろなところに活用できるということで、起業しようということになりました。これが設立の経緯ですね。
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イ |
宇宙業界でお仕事をするにはJAXAの認可を受けなきゃいけないってホントですか?
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和 |
そういうことはないですね。ただ、入ろうと思ってもなかなか入りづらい業界ではありますね。明日から突然、衛星の設計をやろう!というのは難しいですよね、宇宙って言う特殊な環境で動かすものですし、なんと言っても修理できない、っていうのが大きいですね。どうやったら壊れないかっていうノウハウなんかは宇宙業界では常識ですが、他の業界の人は知らないので入り込みにくいですね。
われわれは、その辺のノウハウですとか、コネを持っていましたので、入り込みやすかったです。仕事としては、やはり前にいた会社からの仕事が主になってるんですが、打ち合わせに行っても、社内で話をするような雰囲気で、スムーズに話が進みますね。
逆に、われわれが苦しんでいるのは、他の業界に入り込みづらいって事なんです。自動車のメーカーさんなんかでも構造解析は盛んに行われているんですが、技術力やコネクションの面で、今後の経験を積んでいかないと厳しいかなというところです。
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信 |
やはり、自動車メーカーは毛色が違うんですよね。独自の文化を持ってるんですよね。会社のつながりや、下請けの仕組みなんかですね。
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和 |
われわれのターゲットのひとつとして、中小企業さんを考えているんですが、いままで構造解析という技術を知らないところに、こんなことができますよと提案しても、なかなか受け入れてはもらえないですね。
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イ |
構造解析って、宇宙以外の業界では、あまり一般的ではないんですか?
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和 |
大手の製造メーカーさんでは一般的ですね。ただ、中小企業さんでは、コストの面やノウハウの面で、導入するのが難しい部分があるようです。
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イ |
お仕事を取ってくるのって厳しいんだなというのが分かりました。
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和 |
そうですね〜ただ、需要はあるので、きちんと仕事をこなしていけば、徐々に仕事は増えていくんだな、という実感はありますよ。
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イ |
なるほど、テクノソルバさんの強みってなんなんでしょうか?
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和 |
そうですね、技術的な強みが一番だと思います。宇宙関係の構造解析をやっているので軽量化や振動対策はもちろんですが、カーボンファイバーを使った構造物を扱えるって言う強みもありますね。宇宙での装置は軽く、丈夫に作らないといけないので、カーボンは重要なんです。ですから、カーボンの設計から解析までの技術力は強みですね。
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イ |
そういった技術やノウハウに特許が出て、企業が守ってたりしないんですか??
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和 |
技術的な知識は特許になりにくいんですよね。構造解析のノウハウなんかは特許で守られてるって事はほとんどないですよ。
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イ |
大学で今、材料の勉強してるので、とても興味があります!
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和 |
大学はどちらなんですか?
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イ |
横浜国立大学の工学部建築学科です。
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和 |
あっ後輩ですね(笑)
ちょっとの間大学トークで盛り上がる…
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イ |
宇宙業界においてエンジニアリング分野で将来起業するってことについてお話聞かせて下さい。
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和 |
起業という観点ではエンジニア分野というよりは商社系などの分野のほうが望みはあると思います。エンジニア分野で起業しようというのは正直かなり厳しい!!ですね。我々もかなり偶然に引っ張られてきました。
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イ |
なるほど、企業前にどの程度計画を立てていましたか?それとのギャップはどれぐらいありましたか?
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和 |
単に覚悟ですね。3年やってだめならもう一度勤めようと思っていました。それまでやれるだけやろうと。見込み違いとしては宇宙の仕事が多すぎること!(笑)宇宙の仕事が多すぎてまず営業活動ができなくて宇宙以外の仕事が取れない!しかも宇宙の仕事も宇宙以外の仕事も両方増えちゃってるんです(笑)
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イ |
宇宙系の仕事が増えている理由は何だと考えていらっしゃいますか?
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和 |
業界としてはコストとして厳しいから人をあてきれないので外に出したいというのがあると考えています・・・宇宙業界はそもそもパイが少ないので、人をたくさん採用できるわけではないですし。
衛星関係のビジネスは見通しが全然立てられない状況です。一昔前は商用衛星も上がっていましたが今はほとんど国策衛星です、それも非常に数が少ない。企業は大変なんですね。
そうなってしまったのはいろんな過去の事情があります。ただ個人的な考えを言うならばもはや商用衛星の中心である通信衛星、放送衛星の存在意義が少なくとも日本においてはなくなってきていることがあると思います。
日本の場合、光通信などの地上インフラがありますし、地上波関係においては地上波デジタル等こちらも非常に充実している。そうすると衛星の出てくる必要は全然ないわけです。
そうすると残る分野は観測・探査です。こちらはそもそもが国策が中心ですし、国策としてもそんなに何機も上げる必要もない。
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イ |
うーんきびしいですねぇ・・
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和 |
夢を持っている方には厳しい話になってしまいましたね(笑)ただそういう現実があるってことです。そういうわけで採用、就職という観点からでも宇宙業界は厳しい状況になっているんです。
一時期民間で宇宙ビジネスをやろうという観点が盛り上がっていましたが、結局ネタがないんですね。それに技術的観点でいえば有人宇宙関係となったとたんアメリカにはかなわない。
昔シャトルの搭載ミッションに、企業時代にかかわったことがありました。その時に物量も底力も全然違うなぁと痛感しましたね(笑)
皆さんにはこういった現実を踏まえた上で皆さんは自分なりのかかわり方を探されるといいのかなと思います。そういったことを知らないままに入っても、こんなはずじゃあなかったとか、入ってからが大変ですしね。
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イ |
自分自身、現状どうなっているのかを知りたくてこのプロジェクトをやっているので今回お話が聞けて本当に良かったです。
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