大 |
宇宙事業が3割、防衛事業が5割、その他が2割です。
宇宙と防衛の事業では、技術的基盤の似通っているところが多くあります。そのため、大きく分けると製造品事業・ソリューション事業という業務内容で分かれています。その中で宇宙関係の事業を主に担当している部門と防衛関係を担当している部門等があります。
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イ |
宇宙関係の仕事では主にどのようなところと取引きされていますか。三菱電機様との関係についても教えてください。
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大 |
宇宙事業では、三菱電機様とJAXA様が主なお客様です。三菱電機様との共同開発品や独自で開発した衛星搭載用のコンポーネントを海外を中心に販売を拡大しています。また、今後は国内の他の宇宙関係メーカー様へも販売を拡大したいと考えています。
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郡 |
当社は三菱電機様のパートナーとして、技術支援を行っています。ソリューション事業として設計支援や衛星の試験調整、品質管理も行っています。 |
イ |
具体的にどのようなコンポーネントを作っているのですか。
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大 |
代表的なものを挙げると、衛星用のDC/DC電源があります。三菱電機様のプライムの衛星に、当社の電源が搭載されており、SSPA(Solid State Power Amplifier)や各種RF機器など多機種に渡っています。
また、衛星を製作するのには時間がかかります。例えばお客様からまず設計要求が来ます。それについて我々はすぐに搭載用のモデルを設計・製造するのではなく、設計、解析、評価をするエンジニアリングモデルを作成し、それを基に搭載品の製作に向け、設計、試験を何度も行い最終モデルを製造しています。だいたい1つの衛星の搭載品が完成するのに1年から2年の期間を要します。
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イ |
衛星搭載用の電子機器を製造しているとお伺いしましたが、その他の衛星関連の業務に関してはいかがしょうか。
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大 |
その他の衛星関連では衛星の地上局関係があります。実際に地上局でオペレーションをするということではありませんが、衛星と同様にレーダシステム関連におきましても、技術支援やユニットの設計・製造などのお仕事をさせていただいています。
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イ |
JAXA様からはどのような仕事がありますか。
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郡 |
ISSの宇宙実験システムの電源や、地上での試験などに必要な機材や実験の支援があります。他には展示用や、実際に駆動して実験したい模型のモックアップ製作もします。私の同僚は4、5年前にSOLAR-Bの光学系地上局レンズを担当していました。 |
イ |
宇宙に興味があって御社に入るとなると、配属が気になるのですが。
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大 |
当社では入社前に勤務地の決定、入社後の新人研修後に配属が決まります。採用から配属までをご説明しますと、当社は日本経団連の「大学卒業予定者・大学院修了予定者等の採用選考に関する企業の倫理憲章」を遵守しておりますので、毎年4月以降に選考試験を実施しています。また採用は「本社採用」としており、事業所(地域)毎の採用は行っておりません。そのため、10月1日の内定式後、「配属希望書」(希望勤務地・事業内容・職種)を提出してもらい、勤務地を決定します。実際の配属は、新人研修での各部署の説明や実習を経て、「配属面接」を行い決定します。
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引き続き郡司さんにMELOSでの業務の詳細を伺いました。 |
イ |
大学時代は何を学ばれていましたか。
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郡 |
電気工学専攻で、卒業研究では超伝導素子をやりました。 |
イ |
過去どういった業務を経て現在の業務に就かれましたか。
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郡 |
入社後は、ISSに搭載されているサブミリ波の設計、試験業務に携わっていました。その後電波関係を専門に、宇宙関係業務に7年ほど携わりました。 |
イ |
貴社への志望理由は何でしたか。また就職活動はどうでしたか。
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郡 |
就職活動では5社ほど受験しました。最初は適当に映像関係の企業を受験し、もちろん落ちました(笑)そこから改めて真剣に活動を始めて、宇宙関係の仕事がやりたいなと思って当社に決まりました。 |
イ |
入社後に感じたギャップ、またそのギャップにどう対処されたのか教えてください。
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郡 |
やはり私も宇宙ということについて、漠然としたイメージしか描けていませんでした。
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私が入社した時、当社では宇宙部門ができて2年目というまさに立ち上げの時期でした。そして私は設計担当として配属されたのですが、「設計業務」というと設計だけやればいいというイメージしか持っていませんでした。しかし、部品の選定、買付、品質評価など、設計以外にも仕事はたくさんあり驚きました。なぜこんなことまで?と思うこともありましたが、今になってみると、そういった知識があって初めて設計業務をきちんとできるのだと感じました。いろいろな経験ができてよかったと思っています。また衛星が打ち上がる直前などの時期は、ギャップを感じる暇もないほど忙しいときもありました(笑) |
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イ |
仕事での面白いところ、辛いところを教えてください。
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郡 |
面白かったところは、実物大の衛星が見れたことや、大型の設備を使っての実験などができたことです。逆に辛かったところは、時期にもよりますが、タイトな納期でのスケジュールありきで設計が動くときは体力的にも精神的にもきつかったですね。 |
イ |
どのような時、宇宙開発への貢献を実感されますか。
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郡 |
やはり自分が携わった衛星が形になって、宇宙に行った時につきます!最初の電波が通って、ちゃんと動いた時、ようやく安心できます。 |
イ |
最後に、学生に対してメッセージをお願いします!!
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郡 |
当たり前ですが、会社は入ってみないと分からないことはありますし、希望に沿わないこともあると思います。だからといって、何もしないというのはプロじゃないですよね。入社後は与えられた業務に対してまず結果を出すことが求められます。その結果を出した人こそ、自分のやりたいことができてくるはずです。
どの業界においてもそうですが、宇宙業界にも地味な仕事はあります。しかしそういった仕事があって初めて衛星もロケットも成り立っているのです。短絡的におもしろいから、イメージがどうだから、ということではなくて、具体的に何をしたいか?自分なら何が出来るのか?などの視点で仕事について考えてみてほしいです。
あとは足を動かして情報を得るのみ。ギャップはどこにでも必ずありますが、それも含めて自分を成長させていくのが仕事であり、就職なのです。皆さんの就職活動の成功をお祈りいたします! |
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